動画編集に適したカメラ、適さないカメラ

公開日:2024/03/19
最終更新日:2024/03/19

現在販売されているカメラは動画撮影機能を備えているものがほとんどですが、見た目が似ていることもあり性能の詳細について理解することはなかなか難しいものです。

今回はそんな動画撮影用のカメラ選びについての話となりますが、実は映像を撮影するためのカメラに適したものとそうでないものの間には結構な違いがあるということをご存知でしょうか?

視覚的に分かりやすい判断基準としては4Kや8Kなど、画面を構成する解像度のことを思い浮かべる人もいるかもしれませんが、実は解像度自体はそれほど画質、ひいては動画撮影機能の優劣を判断する材料としてはそれほど適していません(一部例外あり)。

解像度で画質を判断しないとすればナニで判断すればいいのかといえばズバリ「色」。

レンズやカメラ本来の発色特性もありますが、映像制作者がそれ以上重要視するのは色情報。実は多くの方が普段観ているテレビやYouTubeコンテンツなどは最終成果物であるため色情報が極限までそぎ落とされている(=データ容量を小さくできる)ため、そのデータは見た目が高画質でも色情報が少なく色調整、いわゆるカラーグレーディングを行うことが困難なものとなります。

そこで注目すべきキーワード「4:2:2 10bit」の登場です。

映像制作者同士の会話では「ヨンニニテンビット」なんて言われたりしてます。

カメラの紹介ページをつぶさに見ていくとページの端々にこのキーワード、もしくはこれに近いキーワードを見つけることができるかと思いますが、これが動画編集、特に映像美を追求した映像作品づくりにおいてかなり重要な判断材料になります。

詳細を書くと複雑になってしまうとざっくり説明しますが、通常のカメラはレンズ→撮像素子を通して取得した全ての色情報を記録メディアに保存してしまうとデータサイズが膨大になりすぎてしまうため、収録する歳には人間の視覚特性を考慮し最低限の色情報にデータを間引いて保存しています。
間引いているということであれば、じゃあその間引く量を減らせばそれだけ画質は上がる(データサイズも増える)よね…そういう理解で問題ありません。

さて、この4:2:2 10bitは条件の厳しい撮影業務で使わないのであれば現状最高品質のデータにはなります(一部のハイエンドモデルや業務用カメラではより良い収録形式を選ぶことができます)が、ひとつ下の品質のものとして4:2:0 10bitに、さらに少し古い機種では4:2:0 8bitと下がっていき、見た目の品質以上に編集時の柔軟性を大きく左右する違いとなり、結果として最終的な仕上がりが違ってくるというわけです。

違いを知ってもらえるようなサンプルが手元にないため掲載はできませんが色にとことんこだわっているなんていう方がお互いのデータを比べてみればそれなりに理解してもらえる…それくらい違うデータになります。

今回の話は以上となります。2,3年前のカメラと比べるとリッチな色情報を扱える機種は大分増えてきてはいますが、だからといって古い機種がNGなんていうことはありません。

今回の問題はあくまでもカメラ本体の話であり、そこに過度に引きずられてクリエイティブまで低下してしまうことがあればそれこそが本当の問題。早い段階から良い機材を手にすることで作品のクオリティーを上げる、審美眼を磨くなどといった有益なメリットは確かにありますが、ご自身のスキルやその時々の方向性によって機材をアップグレードさせていくスタイルもまた貴重な経験になるかと思います。

これから動画編集を始めてみたい、それも撮影含めて自分一人で全てをこなしたい(YouTubeでの動画配信についても取り上げています)なんていうシニアの方に向けての動画教材を先日リリースしました。

思いついたアイデアを足していったらそれなりのボリュームになってしまいましたが、難しい単語は極力省く、説明は簡潔・コンパクトにまとめるよう心がけていますのでぜひチェックしてみてください。


「60歳からはじめる動画編集」紹介ページ
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